示談・和解決裂、調停不成立。
こういうことは起こるものです。
最終的に白黒を付けざるを得なくなります。
さて、ドナルド・トランプ「でっかく考えて、でっかく儲けろ!」(徳間書店)で、トランプは、Win&Win取引を唱導するコンサルタントを嗤います。
「彼らは、情け容赦のない残忍な敵対者を相手に、『勝者総取り』、『死ぬまで闘う』式のタフな交渉をした経験がないのだ」とあります。
時間があれば、あらゆる義性を払うことができるのであれば、とことん交渉すればいい。
でも、時間や犠牲が惜しいからこそ、リスクを避けて、Win&Win取引に持っていくのです。
だから、必ずしもトランプの批判は当たらないのではないかと思います。
わたしたち弁護士はしばしば「『勝者総取り』、『死ぬまで闘う』式のタフな交渉」を経験しています。
もっとも、裁判の場でのことですので、手続に則った洗練された交渉になります。
判決・決定・審判など、裁判所による最終的な白か黒かという判断を、自己の側に有利にするための、裁判所を相手とした一種の交渉です。
優劣が容易に判定しづらい際どい争いをしている案件はかなり疲れます。
でも、最終的に求めた内容に近い判断を得られたときは、本当にうれしく、安堵します。
話ができるならば、Win&Win取引でまとめて、次のビジネスに進むのがいい。
でも、どうしても妥協できなければ、裁判所による最終的な判断をいただくよりありません。
どちらがいいとかではなく、状況に応じて選択し続けるものだと思います。