わたしの尊敬する同業者の大先輩の言葉を思い出します。
「若い弁護士の中には、飲み歩くのが好きな人もいる。他人様の争いごとのまっただ中に入るのだから、ストレスが高いのである面では仕方が無い。だけど、できるだけそういう時間を少なくして、勉強をすることだ。急がしくてまとなった時間も取れないだろうし、なかなか日の目を見ないものだけれど、いつか芽が出ることもあるし、ちゃんと勉強を続ければきっとどこかで役に立つものだよ。」
その後わたしは、大先輩が言われるように勉強を続けて来たかというと、どうもそうではありませんでした。
飲み歩くことはほどほどにしましたが…。
今わたしは、あるテーマを与えられています。
それについての原稿を書くのです。
勉強するきっかけが与えられました。
これまでに関わった共著の本でもそうですが、テーマを与えられて書く原稿は、勉強のきっかけと機会を与えてくれます。
離婚の本、借金の本は、実務上の経験から書けることでしたが、アカデミックな内容になってくると、さらに深い勉強が必要になります。
「今からでも遅くないよ。」
わたしの尊敬する大先輩がそうおっしゃってくださっているように思います。
いつも凛としていて、言葉を選びながらもきっぱりとどんな質問にも答えてくださったその方は鬼籍に入られています。
「僕の場合は、しばらくやって日の目を見ることができて幸運だった。もっと早く達成する人もいるかも知れないし、長くかかるかもしれない。でも、何らかの形で必ず君たちの役に立つと断言できる。」
駆け出しの頃に聴いたお話を思い出しています。
たとえ日の目を見ることがなくても、わたしは勉強することが楽しいし、勉強できることがうれしいです。
機会を与えてくださった方々のすべてに感謝します。
そして、突き詰めて行けば、今お受けしている普通の仕事もどれとして同じではなく、時には判例集や専門書をひっくり返して勉強しています。
勉強させていただいて、生活の糧を与えていただけているという、そのことに、お一人お一人の依頼者の方々にも感謝です。
やっぱりわたしはこの仕事が好きなのです。