破産手続開始申立に際して、裁判所に提出しなければならない書類に、陳述書があります。
そのなかで、「破産手続開始申立について、家族が知っているかどうか」を回答しなければならなくなっています。
知らせていないというなら、なぜ知らせないのか、その理由を説明しなければならないようになっています。
同居の家族、例えば配偶者だとか、同居の親・子供に内緒で多額の負債を抱えてしまう方も少なくありません。
もし事実を伝えてしまうと、家庭内で大きな問題が発生してしまうという場合もあるでしょう。離婚になってしまったり、親子断絶になったり、家庭崩壊につながりかねません。
なぜ、家族に破産手続のことを知らさなければならないのでしょうか。
それは、家族に内緒で借金を大きくしてしまったということであるならば、いくら破産手続で整理し、免責で救ったとしても、また同じ結果になるのではないかという不安をぬぐえないからです。
困ったときは家族に相談する。
これはとても大切なことです。
悪質な訪問販売や振込め詐欺も、まず家族に相談するならばかなりの確率で防げます。
悪質キャッチセールスも誰にも相談できない状況にして、契約させてしまいます。
だから、困ったときは誰かに相談する。
考えきれなくなったら、相談する。
一番身近な家族にまず相談する。
これが鉄則なのです。
そういうわけで、本人の今後のために、きちんと反省してもらって二度と同じようなことにならないために、破産手続開始申立に及んだことを家族に知らせましょう、というのですね。
このように、家族に知らせなければならない理由がわかると、どうにもこうにも家族には知らせられないというときに、例外的に家族に知らせないでもお許しをいただける可能性も生まれてきます。
どうしたら、裁判所からお許しをいただけるかは、具体的事案によっても異なるでしょうし、その代替として裁判所から要求される手当についてもケースバイケースです。
申立を依頼した弁護士によく相談され、また、弁護士に対して裁判所にどうしたら許していただけるか相談してもらうようにお願いしてみてください。
どんなルールにも例外はあります。
「断られてもいないのに、はじめから諦めるな。」(ジェームス・スキナー)
わたしの扱った例でも、かなり例外的な事案ではありましたが、家族に知らせなくてもよいというお許しいただいたことがあります。