「DR.トマベチの 人生を変える! 脳と心の洗い方」(苫米地英人著、フォレスと出版)
洗脳にも良い洗脳と悪い洗脳があると思います。
他人から受けるのは悪い洗脳でしょうね。
自分を意のままに操られてしまう、本来の人生を歩めなくなってしまいますからね。
でも、自発的に自分でする洗脳は良い洗脳ではないかと思います。
「脳」(=心を含む)を「洗う」ことは時々はしたほうがよいかも知れません。
・「必ず目標が達成できるようになるプライミング」というテクニックを紹介してくれる。
・あまりに協力すぎて医師などに教えているクラスでは悪用禁止という誓約書を取っている。
などと冒頭にあり、期待はしましたが、あえてごく手短にわかりにくく書かれているように感じました。
これまでの読んだ他の本、成功哲学系、自己啓発系の本にも書かれているようなことが多くて、いつどこで出てくのかなと期待しつつ、たんたんとした語り口の文章を追っかけて読んで行きます。
ちょうど真ん中あたりに訓練のテクニックが書かれていました。
「これが秘伝です。通常は医師か臨床心理士にしか教えていない…」
それは、
要するに、<これまで見たり、感じたりしているものを別の感覚系で表現すること>でした。
例えば「視覚」で得た情報を、「聴覚」や「触覚」や「嗅覚」情報に変換して言語化するということです。
これを1日20分間、3か月間続けるとよいらしいです。
フォレスト出版は、人生やビジネスの成功に焦点を充てた良書をたくさん出版しています。ですので、「目標が達成できるようになるプライミング」をメインにという趣旨はわかりますが、著者の言いたかったことは「おわりに」に書かれているとおり、広い意味で「自分をしっかり観る」ことの大切さであるということのようです。
いろんな秘密裏にしかけられた洗脳のシステムに注意して(それは戦後の占領体制、サンフランシスコ講和条約にまで言及されています)、自分自身の心と人生の舵取りは自分でやろうよというメッセージであるように受け止められました。
「目標が達成できるようになるプライミング」というものもその延長線上にあるものであり、成功したかのような気分にさせられるセミナーや宗教などで貴重なお金や時間が奪われ、さらには人格が壊されてしまう人が出ないようにという警鐘のようです。
また、「目の前にあるものを知る」ことの大切さもいわれています。
著者によれば、洗脳は情報操作から始まる。情報操作はまず見せない、知らさない、知識を与えないことから始める、といいます。そういう意味では「目の前にあるものを正しく知る」ことは非常に大切ですね。
その前提に「自分自身を正しく知る」ことが大事だといいます。
どうも本の章立てや構成、語り口にはわかりづらさがありますが(著者のためらいのせいか?)、内容は非常におもしろかったです。