5 手続遂行の注意点
(1)弁護士に依頼しないで手続を進める場合は次の点に注意
弁護士に依頼しないで処理する場合には、債権者からの返済要求は止まりません。
ですから、本人が単独で借金の整理をしようとするならば、交渉期間中、債権者に対して、少なくとも利息(全額が無理ならその一部、例えば一社当たり千〜二千円位)だけでも支払いを続けて行くことです。
そして、十分時間があって、精神的にも余裕があれば格別、もし不安があれば、交渉力も知識も持っている貸金業者に交渉負けしないよう、任意整理は避けるのが無難です。任意整理が相当と言えるケースならば特定調停を申立ててください。
弁護士に委任せずに自分だけで行う任意整理は、精神的な余裕があって十分な知識がある場合で、かつ債権者の数があまり多くない場合でないと独力で整理することは難しいと思います。
自分だけで破産や民事再生を申立てようとする場合には、債権者には利息だけ支払うことを約束します。理由は、支払が困難だというだけで結構です。法的手続を執ろうとすると何かと妨害をしてくる業者もまだかなりあるからです。
また、利息だけの支払は、貸金業者としてもメリットはあるので、貸金業者は、債務者が利息だけの支払を継続する限り、厳しい取り立てはしないはずです。なぜならば、貸金業者としては債務者の元本はまったく減らず、債務者からは一生涯支払を受け続けることができるからです。
利息だけの支払約束をしたら、できるだけ早くに裁判所の窓口で書式集をもらって、よく研究し、準備しておいてください。
また、破産や民事再生を申し立てたら、すぐに債権者全員に連絡しておきましょう。これら申立があってはじめて貸金業者の取り立てが止まります。
後でも触れますが、営業中の法人、営業停止後間も無い法人の破産、法人や個人事業者の民事再生は、できれば弁護士に依頼したほうがよいと思います。裁判所とさまざまなやりとりが必要であり、手違いが大問題になる場合もありうるからです。