*借金整理についてはご相談も多いので、わたしが数年前に書いたままにしておいた軽めの読み物を毎日少しずつアップさせていただくことにしましす。
2 倒産・借金整理ビジネスに引っ掛かるな
(1)早期治療のためには、情報収集
早期治療のためには、まず状況を客観的に分析し、情報を収集してさらに分析して、判断をします。
「借金返済のためにさらに借金をするようになっている」という状況になっているかどうか考えてみてください。情報の収集は、この本を手に取られているのですから、もう十分でしょう。
あとは、どこまで自分でするか決めるのです。
既に、厳しい取り立てに遭い、精も根も尽き果てていますか。あるいは、気持ちの余裕はありますか。
後者ならば、自分で整理はできます。
具体的な方法については、後で述べます。
前者ならば、専門家に任せる方向で考えましょう。
ここで注意しなければならないのは、「専門家」の選び方です。これを誤ったために、余計な苦労を増やされる方が余りに多いのです。
(2)こんなに怖い倒産・借金整理ビジネス
病気になったときに、どうしますか。身体のどこかが「おかしいな」と思ったら、ふつうは薬局か医者に相談します。はっきりしていますね。
しかし、経済の病気である借金の場合、相談できそうな人はたくさんいます。
最近では、「親切」「専門性」を装った詐欺や倒産・破産ビジネスが横行しています。
・ 紹介料詐欺
例えば、「専門家」ではないですが、「高利に苦しむあなたに!低金利の当社で借金を一本化しましょう!」「借金の整理はおまかせ!低金利で一本化!」という、「親切な業者」を装った広告をよく見かけます。私の事務所のポストにまで入っていました。
最近では、こういったチラシに引っ掛かって一層泥沼に落ち込んでしまった方の相談をよく受けます。返済に追われ、経済的信用も無い。そんな債務者に、「親切な業者」があるのだろうか。少し考えればおかしいな、と思うはず。この、「少し考える」余裕までなくしてしまったとき、さらに深みにはまってしまうのです。
この「親切な業者」のチラシがまたよくできています。ぱっと見は、ごく普通の広告なのです。求人広告のように、貸金業者の広告がA4紙面1枚に10社程度。金利が比較できるように、明示されています。そのうち、必ずしも目立たない広告なのですが、1〜2社一段と金利が低く、支払回数も緩やかに書かれている業者があります。
これが黒幕です。
借金返済にせっぱ詰まった人は、少しでも金利が安い業者、返済回数が多くて緩やかな返済方法が可能な業者を探そうとします。それで、そういう人が黒幕業者にひっかかります。
広告によれば、業者名は株式会社○○。貸金業登録もしてあるようです。(ちなみに、この貸金業登録の審査はさして厳しくは無いようです。そして、例えば、「東京都知事(1)」とあれば、貸金業登録して間も無い業者(まだ1度も更新していない業者)ですので、注意が必要です。)(* )⇨「貸金業登録」
金利から見ても支払回数からしても広告文からしても、甲社は、広告の中で親切さは随一。条件反射的にダイヤルを回してしまいます。
そこで、甲社の担当者から指示されることは、「すぐにはうちでは貸せない。提携している大手の業者の審査を受けて欲しい。大手の業者乙社の窓口で、こう言って借り入れを申込んでください。『勤続4年の正社員です。旅行代金が足りないので、貸してください。』と。これはテストですから、嘘でもいいんです。」といった内容です。乙社は、大手の中でも審査の甘い業者です。なんとか審査がとおるような業者を紹介されるのです。
そして、乙社で、審査が通り、三十万円程度借りられたとします。
すると、甲社の担当者は、「それでは、その三十万円を審査料(他社への紹介料名目の場合もあります)ということで、次の口座にお振込くださるか、現金書留で次の住所にお送りください。…。」と指示をしてきます。ここで、その三十万円を振り込んでしまったら、もう最後。その後、甲社の担当者は、不在だとか電話中という理由でつかまりません。そして、間も無く電話自体も繋がらなくなります。
このケースで、審査料(ないしは紹介料)名目で現金振込みをさせる場合は、警察に詐欺で被害届を出しても、まず相手は捕まりません。ワラをもすがる思いで、審査料(ないしは紹介料)を支払ったのに、新たな借金が増えただけです。
私の事務所にも被害を受けた女性が相談にやってきました。被害金は四十万円でした。そこで、私は、詐欺で告訴できないかと思い、警察に相談しました。
警察の担当者は、「先生、これはシステム金融詐欺だね。多分、住所にある事務所に行っても空振りでしょう。」と、諦めた方がいい、と勧められました。
こういうケースでは、現金書留で受け取れるだけ受け取って、事務所を早々に引き払ってしまうらしいです。預金口座を通さないので、相手を特定して捕まえることが非常に難しいのです。