平成28年5月29日(日曜日)
午後2時〜
名古屋市昭和区御器所・れんが家サロン
「昴の会」例会
テーマ:依存症について
3名の講師のうちの1名として、約30分、お話をさせて頂きました。
①薬物依存症者との関わり、
②どうして依存を止められないのか、
③依存症とビジネス(治療ビジネス及び依存を生むビジネス手法)、
④依存症に陥る心理的メカニズム(時間割引率とマシュマロ実験)、
⑤今後の展望らしきもの、 について考えたことをシェアしました。
原稿なしに、自作のジョブズ調の短いフレーズだけを書いたスライドをもとに、国選刑事事件で出会った薬物事犯の被告人との関わりから始め、最後は、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』の一節に至りました。
精神科医やお役人、依存症に苦しむ人々の支援者といった専門家もみえる中で、全く予定調和を考えないで、剣と槍を投入する覚悟で、挑戦的な問題提起をさせて頂きました。
厳しいご批判もあるかとも思いましたが、長年真摯にこの問題に取り組んでみえる筋金入りの専門家は、限りなく寛大でした。
門外漢の挑戦的な問題提起にも、真摯に耳を傾け、受け止めて頂けました。
これから、原稿起こしをし、また改めて公開させて頂くつもりですが、以下に、私が至った最終的な結論部分をアップしておきます。
※「昴の会」は、専門職の勉強会で、精神医学や労働、経営問題についての研究をしています。私は、入会をお許し頂いてから約1年ですが、いつもわくわくするような知的刺激を頂いています。
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依存症は、高度化した資本主義経済の下で不可避的に生じる構造的問題です。
高度化した資本主義経済は、生活必需品や、特に生活必需品以外の商品を大量に継続的に売らんがために、行動心理学・行動経済学の知見をも動員し、巧妙な宣伝で購買意欲を高め、購買行動に出させ、それを継続させようとします。コーラのCMをサブリミナルで流すような実験も実験だけではないかも知れません。
そして、顧客ロイヤリティを高め、お得意様にし、依存させます。
依存させることで、利益を拡大、維持できるからです。
営業経費を節約、著しく低減させることが可能だからです。
社会全体が、依存を生むシステムになっています。
そして、一定数の人々が、一定の依存から進んで行って、依存症となってしまい、「自分自身ないしは周囲が苦しむ」状態となってしまうのです。
構造的問題なのですから、社会全体で、特に、依存を生む枠組みによって利益を得ているすべての企業やビジネスマンら(※専門職も例外ではない)が責任を負うべきです。
報償責任の考え方からもそれが自然です。
また、自身の人生の意味を考えることを止めた人は自分以外の物・人(関係)・こと(過程)に自分を投入(=依存)する予備軍。
自分の人生の意味を考えようとせず、自分の人生の意味を考えることを若い世代に教えなかった人も、依存症予備軍であると同時に、依存を生む枠組みによって利益を得ているすべての企業やビジネスマンと同様、依存症を生みだしている共犯者(幇助者)でもあります。
私も、時に買い物依存だったり、カフェイン依存だったり、「依存症」(それによって自分もしくは自分の周囲が苦しむ状態)の手前にいるなぁと気づくことがあります。
依存症の問題には、第三者はいません。
すべてが、関係者です。
いつ何時誰が当事者となる(糾弾される)かわかりません。
社会構成員全員が関係者なのだと思います。