「魂の演技レッスンCLASS13・アクションにサイズを」(ステラ・アドラー)
「想像力を使い、クリエイティブになる。共感する。そして、人生の意味を深いレベルに引き上げる」
ステラは、受講生に対して、人間としての精神のサイズを上げるよう指導していた。
人間としての精神のサイズを上げるには、ぐだぐだ、だらだらと惰性で生存しているのではなく、主体的に、意識的に他者や自然から何かを感じ取って行動に反映させて、共生するような生活をしていかなければならない。
「あなた方の中には真剣に身を入れて物事をしない人がいる」とステラは受講生に言う。
とても厳しい教師だ。
厳しい教師を敢えて演じているようだ。
この章では、1936年パラマウント映画「Love on Toast」での恋人と電話で話す場面のスチル写真が紹介されているが、その可愛らしく、吸い込まれてしまいそうな楽しそうな笑顔の瞳を見ると、同じ女性が話しているとはとても思えない。
ステラは、いくつかのアクションと、そのアクションの違いを細かく説明する。
そして、「自分の性格からかけ離れたアクションを十個考えて演じてみる」という課題、「祈る。悲嘆する。口論する。これらを3つの異なる世紀別に演じ分ける」という課題を与える。
「イマジネーションで作り出したものに刺激を受ければアクションができる。想像したのにアクションがそれと合っていないなら、演技のプロとは言えない」と挑発する。
ステラは、饒舌に、受講生のやる気と才能を引き出そうとしている。
これは、人前で話す役割がある人には参考になる。
そして、演技するということ、役割を演じるということ。これは、何かを変えたい、変わりたいという全ての人に役立つ訓練になると思うし、気づきを与えてくれると思う。
演劇のクラス、各地のカルチャーセンターでもあるから、覗いてみたら面白いかも知れない。
話すこと、演じること。
これは、現代社会では、全ての人が大なり小なり、日常的にやっていること。
演劇のスキルやマインドは、きっと日常に役立つはず。少なくとも、学べば楽しくなる。
私には、ステラのこの本を読むのが楽しくて仕方ない。