ある同業者の先輩は、いつも穏やか。
態度、所作に品があり、ゆとりを感じます。
経験の浅い後輩に、専門分野を語るときに、微塵も傲りを感じさせません。
アルコールが入っても、過去の業績や、現在の地位なついての自慢話にはなりません。
むしろ、文学論であり、芸術論。
どうしたら、彼の先生のようになれるだろうかと、以来考えていました。
手始めに、週末から、文学に親しむことから始めました。
昔、教科書かなにかで読んだ、志賀直哉「小僧の神様」「清兵衛と瓢箪」「城崎にて」を読みました。
それから、未読であった、二葉亭四迷「平凡」を読みました。
文学は、何通りの人生をも見せてくれます。
久しぶりに心地よい刺激を得ました。
彼の先生と、志賀や二葉亭について語れる迄には至りませんが、世界が少しだけ変わったように感じました。
学生時代には沢山の小説を読みましたが、学生時代とはまた違った感慨がありました。
彼の先生のような懐の深さやゆとりは、ならではのものだから、望んでも無理。
でも、私なりに、いささかでも深みやゆとりが、増すようにと期待しています。