代理人は、依頼人の主張に沿って、依頼人に代わって主張をし、立証活動をせねばなりません。
しかし、目標は、依頼人の利益を実現することにあります。
そうでありますから、よく依頼人の話を聴く必要があるし、依頼人の記憶の端っこに行きがちな、依頼人側に不利な事情ないしは不利な事情につながる情報をも、できるだけ早い段階で得ておく必要があります。
早期の着手を求められる場合もありますが、調査が十分でないと、後々苦労しますし、依頼人自身に不利益が返って行ってしまいます。
(そうなったとき、依頼人から代理人のせいだと責められることのないように、できるだけ早い時点で、代理人としては、その原因を重々説明する必要が生じます。それは、駆け出しのころに経験しましたが、本当にやり切れないものです)
片聴きのまま、客観的裏付けや少なくとも十分な調査なしに、大々的に主張を展開し、あるいは依頼人の熱気のまま感情を露にした事務処理をすることはいかがなものかと思います。
(感情は公式の場面ではつとめて控えるべきものですが、代理人ならばなおさらですね)
しばらく前に「あんたの依頼人は何なんだ!酷すぎるじゃないか!」と一方的に同業者から電話で責められたことがありました。
最終的には、わたしの依頼人の側には責められるべき点がなかったと裁判で認められました。
何年もこの業界にいると、片聴きの情報を鵜呑みにはできないことがわかります。