会社の民事再生の相談がいくつかあります。
民事再生には、風評被害がついてまわります。
かえって、お金の流れがクリアになって、健全化するのですが、それを理解してもらえないこともある。
だから、よほど地力のある企業、スポンサーのいるケース、スポンサーでなくとも協力的な取引先がなければ、難しいのは確かです。
ただ、裁判所を使わない枠組み(再生スキーム)を利用する場合も同じこと。
風評被害は少ないけれど、スポンサー、協力業者の存在は重要ですし、債権者の理解がなければなりません。
債権者としたら、好きこのんで債務免除や、リスケはしたくないのがふつうです。
大幅な条件緩和であればなおのこと。
大幅な条件緩和について、社内で決裁が下りるのはよほどのことです。
民事再生で、8〜9割の債務カットでも決裁が下りるのは、裁判所の決定があり、監督委員の監督があるから、それを信用してのこと。
公の監督も何もなくて、なかなか信用は出来ないし、へたな決裁は責任問題になってしまいます。裁判所の決定があれば、それはそれで責任問題にはなりにくい。裁判所の決定がなく、監督委員の監督もなく信用できるか疑問である以上、私的整理では、債権者内部での決裁が下りにくいのではないかと思うのですね。
裁判所を使わない枠組みは私的整理と呼ばれます。
単純に一部債務免除を願い出る場合、会社分割や、営業譲渡などの会社法上の制度を使う場合があります。
会社法上の制度を使えば、簡単に債務免除が得られる、再建できるなどという、甘い期待は禁物です。
単純に、悪いところを切り捨てただけで債務免除が得られるならば、破産手続をする会社など存在しなくなります。
会社法上の制度を使って、合理化、借金の切り離しをする場合にも、債権者保護手続があって、債権者の同意がなければことは進みません。たとえば、予め個別の同意を得なくても、会社法上の会社分割はできるのですが、分割に異議のある債権者に対しては、全額の弁済・相当の担保供与・相当の財産の信託をしなければなくなります(会社法789条5項、799条5項)。また、異議申立の催告を受けなかった債権者に対しても、分割の効力発生時に存在した財産価額の限度で返済責任が生じます(会社法759条2項、3項)
うまい方法、ボロい方法はありません。
債権者の協力は不可欠です。
債権者が理解を示してくれているのであれば、私的整理の枠組みでいけるかもしれません。
債権者に相談したら、即相殺、資金凍結という恐れがあったり、運転資金のショートが目に見えているのであれば、まずは民事再生のような法的手続をもって弁済禁止を得て、それから相談をしていき、会社法上の制度の利用も選択肢に入れつつ、再生計画を作成することになります。
弁護士が民事再生や会社更生、破産といった、裁判所での手続をとるのには、やっぱり理由があります。
債権者に知れたら、即資金凍結・引き上げの恐れがある場合がほとんどだから。
しかし、そうではない場合、つまり会社が資金凍結・引き上げのリスクをとって、債権者の協力を取り付けたという場合や、会社に地力があってしかも協力なスポンサー・協力的な取引業者がある場合には、会社分割や営業譲渡スキームの採用も考えてみるべきでしょうね。