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愛知県名古屋市中区丸の内 弁護士加藤英男の日々是精進日記(ツィッター:@BengoshiKH)
by bengoshi_358
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カテゴリ:講演録( 2 )
「依存症について 〜薬物依存その他」(3)
3.薬物事犯被告人との面談におけるストレス、まれに遭遇する難事件

薬物事犯の国選事件は、若手弁護士にはありがたい仕事ではありますが、やはり、それまでの人生ではまず出会ったことがない、薬物でヨレヨレになってしまった被告人と、少なくとも仕事が続く間は良好な関係を保たねばならないという点では、ストレスがないではありません。

海外の覚せい剤中毒者の顔画像を集めているサイトがあります。

「The horrors of Methamphetamines」 覚せい剤の恐怖

ここに出てくるような被告人らと、薄いプラスチック板や鉄格子を介して対面するのは、なかなかのストレスです。

国選事件着手直後の被告人の多くは、薬物が身体から抜けていない、瞳孔は開いたまま、話すことが時に支離滅裂で、怯えていて、なぜか刑事手続において不当に扱われた被害者だという意識が強い場合もあり、信頼関係を築くのが大変です。


先ほど、「薬物事犯は自白事件ばかり情状弁護だけで済むので楽だ」と申したのですが、非常にまれですが、中には、「自分の意思で薬物を摂取したのではないから、無罪を主張してほしい」という被告人もいて、そういう場合には、非常に苦労することになります。


ある事件では、知人から、悪意をもって覚せい剤を混入したカレーライスを食べさせられたと主張がありました。


また、別の事件では、覚せい剤を常用していたが、「もう止めようと思って捨てた。」ところが、捨てる時に食卓のごはんに粉がかかってしまったのに気づかないまま、食べた途端、気分が高揚して、大声で騒ぎたくなって、隣人に通報されたという主張がありました。


この後の方の事件では、裁判官からはしかめつらされ、傍聴人からは大笑いされ、「あの弁護士、大丈夫か?」とささやかれ、挫けそうになりました。

どちらの事件も、否認事件ということになり、証人尋問をしたり、大変な作業を要しました。

結局、どちらも自分の意思で覚せい剤を使用したことに間違いないとされ、有罪とされました。

覚せい剤の前科前歴が複数あったことや、辻褄が合わない弁明があったことで、有罪の心証をとられたようです。


ほとんどの薬物事犯の被告人は、何度も服役しながらも、懲りずに覚せい剤に手を出し、逮捕、服役を繰り返します。


どの被告人にも共通するのは、①常用者が身近にいたり、売人に自ら接近していること、②それと、何度刑務所に入ってもなかなか薬物乱用を止められないこと、です。





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by bengoshi_358 | 2016-06-15 18:34 | 講演録
「依存症について 〜薬物依存その他」(1)〜(2)
1.薬物乱用の現状

まずは、「薬物乱用の現状」について、ご紹介します。

少し古いのですが、厚労省のHPに、『薬物乱用の現状と対策』というPDFになっているレポートがダウンロード可能ですので、ご関心のある方はぜひ御覧ください。

厚労省HP


このレポートでは、

「主要国の薬物別生涯経験率」「我が国における麻薬・覚せい剤検挙人員の推移・覚せい剤事犯再乱用者数の推移」「法規制」などが報告されています。

我が国では、薬物乱用者数は、どちらかといえば減少傾向にあるが、再犯率は上昇しているということがわかります。

薬物乱用は、法律によって規制されており、処罰の対象となります。
また、法律によって規制されている薬物を乱用し、処罰されることになれば、労働者の場合、懲戒手続きを経て解雇されるということにもなります。

※企業による懲戒処分は、刑事処分があれば重くなるでしょうが、刑事処分がなくとも、薬物乱用の事実が認められ、具体的に社内秩序を乱すことがあれば、それに相応した社内懲戒処分が下されることになります。


2.若手弁護士と薬物事犯

私は、もう10年以上前に刑事事件を扱うことをやめましたが、特に、駆け出しの若手の頃には、国選刑事事件を毎月1件は受けていました。

当時、若手弁護士の中で、人気だったのが、覚せい剤を始めとする薬物事犯でした。


その理由は、
(1)被害弁償の必要がない
(2)量刑が明快
(3)簡単な情状弁護だけ、ということです。

薬物事犯は、いわゆる「被害者がない犯罪」です。

傷害事件や窃盗事件のように、明らかに被害者が存在する場合には、弁護人となった弁護士は、被害弁償といって、被害者に面談、電話での話合いを求め、損害金や慰謝料を支払い、処分を軽くしてもらえるような『嘆願書』を書いて貰う活動をしなければなりません。

社会経験が乏しく、個人としての経験上、他人から恨まれたりしたことはなく、また、他人に謝罪することもなかった若手弁護士にしてみれば、『被害弁償』を行うことは精神的に大きなストレスになります。

だから、『被害弁償』をしなくてもよい薬物事犯は、それだけで魅力的です。

また、日本の刑事裁判には、量刑相場というものがあって、「このくらいの事件ならば、判決もこのくらい」という目安がはっきりしています。

中でも、薬物事犯では、より明快で、その当時は、1回目は懲役1年6か月・執行猶予3年~5年、2回目は懲役2年、この2回目が執行猶予期間中ならば合計で3年6か月懲役に行くことになっていました。

この結論は、どんな弁護活動を行ってもほぼ変わりはありません。

さらに、薬物事犯の場合、自分の意思による薬物使用を認めた自白事件がほとんどなので、法廷での弁護も、情状弁護といって、「これこれの事情から、やむを得ず薬物を使用したので、なんとか寛大な処分をお願いします」という弁論を行うだけ済むのです。


このように、国選刑事事件の薬物事犯は、定型的な処理になじむので、弁護ミスが生じる可能性は低く、弁護活動も楽なので、若手駆け出しの弁護士向けの仕事ではありました。


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by bengoshi_358 | 2016-06-15 18:24 | 講演録
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