わたしはむやみに事件を増やすのは嫌です。
弁護士1名態勢でいますので、事件を細かく分けて、ひとつは調停、ひとつは裁判、ひとつはADRとかにするなんてことはできません。
多分、事件を増やしたほうが報酬は高くいただけるのではないかと思いますが。
できるだけ、同一当事者間の紛争は一つの手続で一回的に解決できるようにする方が、依頼する側にとっても低コストですみますし、弁護士1名事務所にとっては助かります。
ですから、わたしは以前からできるだけ1つの処理方法で一切の紛争が解決に向かうように当っています。
もっとも、そういうやり方をしていても、相手方が争点を水増しし、かつ人海戦術で、多数の事件を同時多発的に起してくることがあります。
それに、やはり多数の事件に分解した方がむしろ安価に、迅速に進むという場合もあります。
そういうときには、仲間の弁護士に応援を頼んで手分けして当ります。
わたしも、そういう場合に応援で仲間の弁護士のお手伝いをしたりしています。
業界の仲間内での助け合いは大事ですね。
(もっとも、親しい仲間があまり増えてしまうと、厳しい争いをする事件で敵味方で裁判をする際にはやりにくくなったりもします。既に相手方に親しい弁護士が就いていてやりにくさを感じたら、相談者にその旨お伝えして、信頼できる他の弁護士を紹介しています)
それと、事務処理の過程において、相手方に怒鳴ったり、机を叩いたり、感情をむき出しにして当るということも好みません。
そもそもがそれぞれに十分な理由があると思うから紛争が起こっています。
100%正しい人間なんていません。
だから、相手の理屈にも配慮していく必要があります。
100%悪党と言える人間もそう多くはありません。
だから、相手の理屈に配慮した方が迅速で円満な解決が図れたりもします。
最近は、感情をコントロールできない(意図的に感情を露にしているとすればあまりに下手)専門家に出会うことが何度かありました。
驚かされはしましたが、その人たちの底も見えました。
逆に、ひどくシビアな対決をしている事件で、わたしも感情に引きずられずに冷静にと意識して努めているのですが、相手方の代理人は常に冷静かつ紳士的で極めて印象が良いという案件もあります。
優秀なだけではなく、相手方代理人は配慮ある対応もきちんとできる方。
かくありたい、とその方に敬意を感じています。
でも、やっぱり主張はお互いどこまでも平行線で、厳しく激しい対立を続けています。
仕事の流儀はさまざまです。
人それぞれですから、自分に合う好きなやり方でやればいい。
ケースバイケースでいろんなやり方をやってみて、良い結果が出るやり方でいけばいいと思ってます。
でも、先の2つは、どのケースでも当てはまる基本のようなものだと思います。