個人再生にも、非減免債権というものが設けられました。
非減免債権とは、責任を減免されることが認められない債権をいいます。
民事再生手続によれば、債権の支払責任(義務)が最大で9割も減額が可能なのですが、非減免債権は減額が一切認められません。
具体的には、下記のものが挙げられています。
(1)悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
(2)故意又は重過失により加えた人の生命身体を害する不法行為
(3)養育者又は扶養義務者として負担する費用に関する債権に基づく損害賠償請求権
具体例でいいますと、(1)は、暴行傷害、窃盗、横領などにより負担することとなった損害賠償金債務が相当します。(2)は、人身事故を起して負担した債務が相当します。(3)は、婚姻費用や養育費が相当します。
これらの非減免債権については、3〜5年の間で定められた再生計画期間中に、再生計画で定められた債権カットの一般的基準により、9割カットなら1割を他の一般再生債権と同様に支払って行き、3〜5年の期間満了時に9割を一括で支払わなければなりません。
この非減免債権の額が大きい場合には、履行可能性が乏しいということになりそうです。また、その場合、非減免債権者が再生計画案に反対ということになると(議決権がのない債権を列挙した法87条2項に非減免債権が挙がっておりませんので)、再生計画案の決議条件をクリアすることも難しくなると思います。