上村先生の「株式会社はどこへ行くのか」(上村達男、金児昭著、日本経済新聞社)を読んで思い当たるのが、かねてから気になっているのが、債務超過会社の会社分割です。
会社分割によれば、債務超過会社が、会社建て直しのために優良部門と不採算部門を切り離し、不採算部門に負債を負わせて最後には消滅させ、優良部門は生き残るということが可能です。
債権者保護手続を経なければなりませんが、実は、会社分割を容易化させる余り、この債権者保護手続が十分ではないのです。
この債権者保護手続から漏れた債権者は、優良部門が集められた会社に対して、別に詐害行為取消訴訟を起こさなければなりません。
これがなかなか面倒な裁判になるので、誰もが簡単にできるわけではありません。
法にくわしくない債権者、余裕のない債権者にとっては、泣き寝入りになりかねません。
株式会社制度の信用を維持していくためには、現行制度を前提とする限り、気付いた人からきちんと対応していくことしかないのでしょうね。