新しい教科書を買いました。
「破産法[第4版補正版]」(加藤哲夫著、弘文堂)です。
即効性のある実務家が書いた本ばかり読んでいると、ときには改めて体系的にチェックしたくもなります。
破産法の本では他にも定評のある本がいくらもありますが、この本はわたしには一番わかりやすいです。
この分野で大家と言われる、とある教授の本は、無味乾燥でどこか突き放した感じがします。その上、横書きです。どこか、深みに欠ける印象があります。
それに比べてこの本は、適度にウエットな文章で読者に理解してもらいたいという熱い思いが伝わるような意欲が感じられます。(そういえば、新堂光司先生の名著「民事訴訟法」のような雰囲気のある文章です。)
著者である、加藤哲夫先生の「はしがき[初版]」にある以下の言葉で中身を確かめないで買ってしまいましたが、まさしく体系を貫く骨というか、一本筋の通った教科書です。(新堂光司先生の民事訴訟法の教科書も、手続保障・自己責任というテーマで貫かれていますね。)
「利害関係人の法的利益がどのように守られ実現されるか、あるいはそれぞれの利害がどのように調整されるべきかという機能的局面が、破産手続のもつ基本的な実相であろう。その意味で、…利害関係人が手続にどのように関わるのかという視点を可能な限り強調した体裁を、本書においてはとったつもりである。」
この本は「破産法の手続がそれぞれの利害関係人にとってどんな意味があるのか」という観点をもって各手続を説明してくれています。
そのおかげで、手続法の教科書にありがちな無味乾燥さから逃れて、ウエットな感じの、飽きさせない教科書とすることに成功しているのではないかと思いました。
鈴木竹雄先生の会社法、四宮先生の民法総則、新堂先生の民事訴訟法、前田庸先生の手形小切手法、佐藤幸治先生の憲法、それからこの破産法のような、骨組のしっかり通った本はわかりやすいですね。
すごいなぁと思いながら、こんな本が書けたらいいなぁと漠然と思うのでした。。。
(専門家向けのものは諦めています。でも、いつか一般向けで、これらの教科書のように明示的な視点ないし観点をもって貫かれたわかりやすい実務解説本を書けたらいいなぁと思っています。)