わたしは愛知県弁護士会の過払金返還チームのMLに参加させていただいています。
これまでは、そこで議論されているような熾烈な裁判は経験したことはありませんでした。
ところが、商工ローン相手の過払金返還訴訟では、相手方から「最高裁判例の解釈はこれが正しい!」という趣旨の詳細な準備書面が出されました。
請求金額が大きな事件ですから、当然と言えば当然かも知れません。
昔ながらの融資・回収スタイルの商工ローンから借入をすると、多くの企業もたいていは2年で破綻します。これは弁護士経験を10年もすれば実感できます。
もっとも、商工ローンの担当者ないし支店長の中には、親切かつ良心的で中小企業の信用も厚く、「本当にあの人のおかげでウチの会社は救われました。」と社長につぶやかせるくらいの人もいます。
利息は高いです。でも、普通の銀行や信用金庫が貸さないような危険な状態の会社にも貸してくれるわけですから、リスクを取った分だけの利益もなければなりませんし、貸し倒れも多いから高利で損失を吸収しなければなりません。
ある面、「高い金利だなぁ。でも、仕方ない。」と思いながら借りていたりします。
そのため、そんなこんなで10年、20年と高利の返済を続ける社長さんもたまに出現されるのですね。
「もうどうにもならん。」
そう思った時、過払金返還請求を思いつく。
弁護士に相談して計算してもらうと、莫大な金額になっている。
優に1,000万円を超えている。
「この半分でもあったら。」
そして、交渉が始まります。
「半分でも」と思わせるほどに親切だった担当者であれば、商工ローンも助かります。
過払金返還チームML会員とすれば、問題はあろうかと思いますが、ご依頼者の希望に沿うことが大事。
「とにかく早く解決してくれ。」
「あの担当者のおかげで心中を免れた。だから、示談で和解する。」
そういう場合には、職業的良心と過払金返還チームML会員としての意識から許される範囲内で妥協します。
今かかっている案件では、相手方の弁護士がアカデミックな論争を仕掛けて来ています。反面で和解の希望も含んだ準備書面です。
争う姿勢である以上、最高裁判例の解釈論争をしかけられた以上、職業的良心と過払金返還チームML会員としての意識からは厳しく対応せざるを得ません。
わたしは、この種事件を専門としているわけではありません。
そこで、わたしが参考にしている知恵袋をご紹介します。
・「Q&A過払金返還請求の手引(第2版)」(名古屋消費者信用問題研究会編、民事法研究会発行)
それから、わたしと司法試験同年合格(同期の桜)で、この本の著者グループの主要メンバーの1人である山田克己弁護士(ノヴァ法律会計事務所、052-221-0092)ですね。
山田克己先生は消費者金融関係の込み入った紛争になると非常に詳しいです。
山田克己先生、それから同期の仲間とは、「自分で調べられるだけ調べてわからない問題が生じたら、無料で、精一杯教えあっこする」という暗黙の約束があります。
そこで、わたしは、山田克己先生は消費者金融関係の最新裁判例や最高裁判例の解釈論などでしばしばお世話になっています。
そんな山田克己先生に教えを受けた後で、「ちゃんと過払訴訟せいよ。」と叱咤されると甘い和解もできなくなります。
厳しいですけど、本当にありがたいです。