「フラット化する世界 〜The World Is Flat(上)」(トーマス・フリードマン著)、読了しました。
流れるような饒舌体の文章です。
ところどころに、極めつけの文章が散りばめられていますが、さまざまな視察、インタヴュー、読み物から得た情報などを盛りだくさんに語りに語っています。(圧縮すれば上下2巻でなく1巻でまとまったはずでしょうが、著者のキャラなのですね)
実は思わせぶりで恐縮だったのですが、下記の本を読み、考えがまとまらずにいたのです。丸善で同じくベストセラーになっていた本です。
この本の著者ダニエル・ピンクによると、IT革命はこれからが本番であり(フリードマンもはっきり書いています)、医師、弁護士や公認会計士等の士業種の受ける影響は大きいということでした。
フリードマンの「フラット化する世界」を読み、確かにわたしたちの仕事ないし仕事のスタイルも変わって行かざるを得ないと確信しました。それにアジャストしていかなければならないと思っています。
だんだんと考えがまとまりつつあります。
ただそれはここでご説明するよりも、きっとこれからのわたしの仕事によって明らかにするべきことなのではないかと思っています。
さて、このフリードマンの本。
世界は驚くべき速度でフラット化している、世界中のどこからでもいかなるビジネスにもチャレンジないしはコミットできる可能性がオープンになったといいます。
グーグルで検索することを、「ググる」と表現することを初めてこの本で知りました。
グーグルの凄さ。
フリードマンは言います。
「フラットな世界では、逃げることもできなければ、隠れることもできない。小さな石までひとつひとつ裏返されて行く。何をやっても、どんな過ちを犯しても、いつかは検索でわかってしまうから、真っ正直に暮らした方がいい。」
これは大事なことですね。昔から日本では地域社会がしっかりしていて、「世間様」のおかげで滅多なことはできませんでしたし、今でもある程度はそれが守られているようにも思えます(都市化、欧米化のせいで崩れてはいますが)。
聖書を信じていても、行いでは目先の利益が優先されるようなドライなお国柄の国でも、世界のフラット化現象(グーグルはその要因ないし要素の1つ)によって、「正直・誠実が大事」というカビ臭い教訓が、「いい相手といい関係を築き、お互いに利益をもたらすためには絶対不可欠」という、実利的な意味で復活したということでしょうか。
世界の平準化(平等化ではない)。
フリードマンは言います。
「それまで競技場から閉め出されていた30億人(中国、インド、ロシア、東欧、南米、中央アジア)が、あらゆる人たちとプラグ&プレイできるようになったことに気づいた。…こういった新参者の大多数は、家を出る必要すらなかった。…競技場の方からやってきたのだ!」
このことは、国内でも言えそうですね。フリードマンは、中高年女性の在宅ワークの現状(パソコンと電話を使っての情報サービス)についても紹介されています。これまでふつうには仕事ができないと思われていた年齢層や居住地その他のハンデのある人たちに就職やビジネスのチャンスがあるということになりますね。
ピンクの本とフリードマンの本は、ならべて売られていましたが、確かにセットで読むと分かりやすい気がします。
ただ、インパクトがあったのは最初に読んだせいもあるのですが、個人的にはピンクの本の方でした。
それにしても、フリードマンは網羅的でさまざまな分野におけるフラット化に関して論じていること、口語の饒舌体であって読みやすいこと、から下巻も読んでみようかなという気にさせられました。