*借金整理についてはご相談も多いので、わたしが数年前に書いたままにしておいた軽めの読み物を毎日少しずつアップさせていただくことにしましす。(お気づきかもしれませんが、日記を更新する時間が取れないときほど、この読み物のアップ量も多くなりったりします)
・債権者の決算時期などに当たると大幅な減額を得られることもある
支払い金額が大幅に減額できる場合がまれにあります。
それは、任意整理の交渉が丁度、債権者である貸金業者の決算期などに当たった場合です。
私の扱ったある事件で、借入れ残高が一〇〇〇万円を超えた案件で、貸金業者の主張金額を利息制限法に引き直して三割近く減じた金額になりました。そこで、わたしは「三割減の金額なら五年での分割払い。一括払いなら、大幅減額をしてほしい。」、と業者側に求めて交渉を二か月位継続していました。
貸金業者側は、だんだんと偉い人が出てきます。最後に、決裁権限のある方が私の事務所に来てくれましたが、その前提に電話で話を詰めました。何回目かの決済責任者との電話で、「では、一括の話合にしましょう。」と切り出されました。
そして、少しだけ間を置いて、決裁責任者は続けます。「一体いくらなら支払えるのですか?」
こう切り出されたので、依頼人が支払えるぎりぎりの金額、貸金業者主張金額の一〇分の一以下の金額を言いました。私は、恐らく交渉は決裂、あるいはさらに長引くか、はたまた場合によっては依頼人に破産を勧めなければならないかな、と思いました。
ところが…。私が次の瞬間に聞いたのは、驚くばかりの回答でした。
「いいでしょう。交渉成立です。」という言葉でした。
調印後、世間話の中で、決裁責任者が言われるには、丁度決算時期が迫っていて、何が何でも処理をしたかったというのです。
ですから、これは私の交渉力でもなんでもありません。時期がよかったのです。さすがに10年に一度のレアケースを自分の交渉力の賜物だなどと申し上げるほど厚顔ではありません。まず、こんなケースは当分ないでしょうね。
決して一般化できることではありませんし、弁護士に依頼されないで相手の決算時期をにらみながら交渉するというのは、相当の根性とエネルギーを必要とするものです。ご本人による交渉でこういう僥倖に出会えることは困難であると思われた方がよいでしょう。ただ、こういうこともあるのだということも覚えておいてください。