(協議上の離婚)
民法第763条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
離婚とは婚姻の解消です。
婚姻(結婚)すると、離婚しない限り、死ぬまで夫婦ということになります。
婚姻(結婚)が人生の一大事であり、現代では個人の意思を尊重するべき建前ですから、離婚についても個人の意思が極めて重要です。
そのため、まずは協議、即ち、話し合いで、いつでも離婚できるのだ、ということを確認した規定です。
そのため、次の条文では、婚姻の規定を準用するとされています。
(婚姻の規定の準用)
民法第764条 第738条成年被後見人の婚姻、第739条婚姻の届出及び第747条詐欺又は強迫による婚姻の取消しの規定は、協議上の離婚について準用する。
被成年後見人が婚姻を希望するとき、成年後見人の同意を要しないとされていますが(第738条)、同規定が準用される結果、被成年後見人が離婚を希望するとき、成年後見人の同意は不要です。
また、離婚についても、婚姻同様、戸籍法にしたがって届出をする必要があります。婚姻同様、成年の証人2名が必要です。
さらに、詐欺又は強迫によって離婚届でに署名押印させられた者は、離婚の取消を役所ではなく、家庭裁判所に申し立てることになります。
(離婚届出の受理)
民法765条 1.離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第739条第2項及び第819条第1項(親権者の指定)の規定その他法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することはできない。
2.離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚はそのために効力を妨げられない。
離婚届出は、所定の方式のものが提出されれば、外形上不備が明白でない限り、受理されてしまいます。受理されてからは、離婚無効の裁判が必要になるなど、面倒なことになってしまいます。
それを見越して、古くから、相手の意思を無視した「追い出し離婚」を防止するために、離婚届不受理制度という手当がなされています。
離婚届不受理制度とは、法律に明文はないのですが、昭和27年7月9日付法務省民事局長の回答、昭和37年9月27日の法務省民事局長の回答によるそうです(「夫婦・親子関係の法理」中川淳著、世界思想社)。
この制度は、離婚届出書に署名押印したけれどもやっぱり離婚したくないと気が変わった場合、あるいは自分に無断で離婚届がされてしまうそうな場合に、向こう6か月間は離婚届出を受理しないで欲しいという意思を書面(離婚届不受理申出書)で役所に申出た場合には、離婚届でを受理しないという制度です。この6か月間を経過後もなお不安が残る場合には、再度不受理申出書を提出し直すことになります。