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愛知県名古屋市中区丸の内 弁護士加藤英男の日々是精進日記(ツィッター:@BengoshiKH)
by bengoshi_358
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うつ病に関する講演録 その2
3.「うつ病」を取り巻く問題状況
ア.「うつ病」患者は増加している。
イ.心療内科施設数は増加している。
ウ.抗うつ薬市場規模は拡大している。
これらには何らかの関係がある、としか思えない。
このことを端的に指摘したのが、野田正彰著「うつに非ず」(講談社)です。
この本をきっかけに、次から次へと、ビジネス書、ポピュラーサイエンス書、医師向け専門書を約20冊読み進みました。
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 そして、「本当にそうなのか?」と思い、確認するべく、自分でも「うつ病」についてデータを調べてみると、厚労省のHPなどに私の欲しかったデータが殆ど公開されていました。
・うつ病を含む気分障害外来患者数

・心療内科施設数


・      抗うつ薬市場規模の拡大
※これは、株式会社シーマ・サイエンスジャーナルが、<ai Report サンプル【 ai Report 2011 10章 抗うつ剤市場 】> という題名でサンプルとして公開して下さっているPDFで確認できます。

そして、自分自身で、
①「うつ病」患者数の増加、
②「心療内科」施設数の増加、
③抗うつ薬市場拡大という事実、
の元データに触れることができたのです。


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これら①〜③をグラフにしてみたのですが、ほぼ重なります。
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4.何が問題なのか?
 医師や臨床心理士らの最近の調査研究によると、
(1)「うつ病」と診断されるものの多くは、いわゆる「新型うつ病」であり、実は「双極性障害」であること、
(2)「新型うつ病」に「うつ病」治療薬を投与するミスマッチが病気の難治化、自殺リスクを高めること、
(3)新型抗うつ薬、急性期に投与される睡眠薬のベンゾジアゼピンも奇異行動や自殺を招きやすいこと、が判明しました。
(新型抗うつ薬については、英国精神科認定医、カーディフ大学精神医学部ウエールズ副部門教授デヴィッド・ヒーリーの著書が詳しい)
(ベンゾジアゼピンについては、ニューカッスル・アポン・タイン大学精神薬理学名誉教授ヘザー・アシュトンの論文、著書が詳し)※両薬剤とも、海外では訴訟になっている

抗うつ薬は、読んで字の如し、「抑うつ状態に対抗して、気分をアップさせる」薬です。
本来の「うつ病」では、気分は下がったまま。
そのままでは、日常生活が送れないし、厭世的な気分になり、自殺念慮は深くなってしまいかねない。
眠れない。
そのため、精神状態はますます悪くなる。
だから、「気分をアップさせる」薬を飲ませるのです。
抗うつ薬、特に新型抗うつ薬と呼ばれるSSRI、SNRI系の薬は、多幸感をもたらし、非常に効果が高いといわれています。
気分は下がったままで、このままでは危ない。
だから、「気分をアップさせる」薬、中でも良く効く新型抗うつ薬と呼ばれるSSRI、SNRI系の薬が用いられるわけです。
但し、新型抗うつ薬は、効き過ぎ・過効能、賦活作用が問題となり、依存性が高く、かつ、奇異反応を引き起こすことがあるといいます。

それから、睡眠薬のベンゾジアゼピン。
こちらも、熟睡感、多幸感がもたらされる、非常に良く効く睡眠薬です。
不眠が続くと、やはり良からぬことを考えてしまいます。
とにかく、眠らせねばらない。
そんな急患に用いられる薬です。
ただ、ベンゾジアゼピンも、依存性や奇異反応を招く危険が高いといわれいます。

新型抗うつ薬にせよ、ベンゾジアゼピンにせよ、急性期の「うつ病」患者には、自殺リスクを軽減するために投与するのは有用です。

しかし、本来の「うつ病」=単極うつではない「新型うつ病」患者に、これらを投与することは、有害です。

「新型うつ病」患者は、抑うつと、上機嫌・軽い興奮をいったり来たりしています。

好きではない仕事で落ち込む。
嫌なことがあったら落ち込む。(←この時点で、本来の「うつ病」とは違うことがわかる。本来の「うつ病」では、嫌なことがなくても、たとえ良いことがあっても落ち込んだまま)
しかし、趣味や、やりがいのある仕事では上機嫌。
批判されたり、意見されて落ち込むけれど、何かのきっかけで攻撃的になったりする。

上機嫌だったり、怒っているときは、本人も、周囲も、誰も病気とは気づかないで、落ち込んだときに、本人は辛いので、病院に行きます。
そこで、抗うつ薬、場合によったら、新型抗うつ薬を処方されます。
抗うつ薬はよく効きます。
幸せな気分になり、また、次に落ち込んだ時に、通院します。
本来は、上下する気分の安定を図らねばならないはずなのに、落ち込んだときにだけブーストする薬を服用する。
ところが、その薬には、依存性もあり、かえって気分不安定を悪化させる可能性があるのです。
そして、常時落ち込んでいる、本来の「うつ病」患者ではないのですから、抗うつ薬の効き過ぎを起こしやすいわけです。

気分の上下サイクルで、気分が上昇し始めたときに、「まだ気分が少しすぐれないので、抗うつ薬を飲もう」ということをすれば、上方に気分・感情が振りきれてしまうわけです。

ネットで、新型抗うつ薬、ベンゾジアゼピンと、自殺や犯罪との関連を検索すると、いくらも情報が得られます。

(1)
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(2)
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(3)
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5.終わりに

ここまで学び、長年の疑問が解けました。

わたしは、法廷で、数々の「うつ病」患者の方々と出会いました。
「うつ病」と闘い、苦しいのに、辛いのに、法廷まで出てきて証言して下さる患者さんたちに、時には相手方関係者に、立場が違えど、敬意を感じていました。

ところが、敬意と配慮をもって接しようとするのですが、その次の瞬間、普通の事件関係者以上の割合で、興奮し、感情的に、むき出しの敵意をぶつけて来られる方が多く、いつも釈然としない物を心に溜め込んでいました。

ああ、そうだ、あの方たちは、「うつ病」ではないのだ。
もしかしたら、「新型うつ」なのだ。

今はそうわかります。

本来の「うつ病」ならば、自罰的で、他罰的にならず、興奮することもない。
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恐ろしいのは、「うつ病」と「新型うつ病」とでは、原因も、病態も、治療法も全く違うことです。

「うつ」はココロの風邪、などといって、気軽に内科や婦人科で診察を受け、抗うつ薬を処方されて安心してしまうと、かえって病状は悪化していき、さらに問題は根深くなるということです。

しかも、この悪循環は、先ほどの、グラフでみたとおりの構造的な問題を孕んでいるということです。

とある自治体では、不眠→うつ病→精神科医という自殺防止キャンペーンを行いましたが、キャンペーン実施後の成果は芳しくないといいます。
この点は、冒頭でご紹介した、野田さんの著書に詳しく、また、同著書で紹介された医師・保健衛生コンサルタント櫻澤博文(産業医大医学部卒)さんによる「自殺予防事業を考える」と題するPDFがウエブ上で公開されています。

「うつ病」と「新型うつ病」を峻別し、「うつ病」の確定診断を経ずに、漫然と抗うつ薬や睡眠薬を服用し続けることは危険です。
「うつ病」と「新型うつ病」、この「新型うつ病」に多くの割合を占める双極性障害(Ⅱ型)は、確定診断を得られるまでに期間を要し、「うつ病」と誤診され続けて、正しく双極性障害障害と診断されるまでに数年かかるケースが少なくないそうです。

患者さんは、通常、辛い、抑うつしか主張しません。
しかし、家族や周囲の目から見て、「好きなことはできる」「趣味がある」「時に攻撃的になる」といった特徴があったならば、専門の精神科医にかかり、厳密な診断を得るようにされるべきです。

ノーモア・ミスマッチ。
「うつ病」患者も辛いです。
また、「新型うつ病」患者も辛いです。

「うつ病」は、適切に治療すれば寛解しやすいといわれています。
また、「新型うつ病」も適切な治療で、安定させられる病気です。

辛い抑うつの症状だけをみて、見誤ることにないようにと願うばかりです。



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by bengoshi_358 | 2016-01-15 19:37 | その他法律関連
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