「B 決断しましょう」
「私たちの内奥の魂は常に積極的であり、『私に不可能はない』と主張するが、心がその声と一致した時にだけ、魂の主張が自由に流れ出て私たちの努力に成功をもって報いてくれる。心は、それまで学んできたことに規定され、積極的か、否定的か、中立的かのいずれでもありうる」(トーチェ)
トーチェは、決断し、行動に移すことを勧める。
行動に移らない決断は本当の決断ではない。
「私たちは生まれつきの怠け者で、できるだけ努力のいらない方を選ぶ」(トーチェ)
厳しい意見だけれども本当のことだ。
自分の経験からも、多くの本でも読んだこと。
身体的にも心理的にも恒常性維持機能(ホメオスタシス)が人間には備わっている。
『論理と感情が闘えば感情が勝つ』と言われている。
心の正直な思い、感情が人を動かす。
『人間は感情の動物だ』と言われる所以だ。
言語・イメージによる自己暗示は、実はこの厄介な感情のコントロールのためのツールなのだ。
感情は、常に否定的、よくても現状維持的に流れやすい。
『そんなにがんばらんでもいいやん』
時として必要な言葉であるけれど、自分の感情を明るく前向きにさせることについてはがんばらないといけない。
辛いこともあるし、投げ出したくなるときもあるだろう。
しかし、あなたが塞ぎ込んでいるときに、周りの人たちはどんな気持ちになるだろう。荒れ狂うあなたに、周りはどれほど迷惑を被るだろうか。
他人は去っていく。それで済む。
家族はそうではない。
自分だけの問題ではない。
俺は落ち込むだけ落ち込みたいし、好きにしてくれというなら、一人で自活し、あるいは社会を離れて無人島で暮らすしかないだろう。
無理無理の努力で何かをやろうじゃないか、巨人の星みたいに、という行き方ではなくて、まずは、自分の気持ちを前向きにすること、明るくすることにがんばってみようじゃないかということ。
放っておけば現状維持的な怠け者。
あるいは、心のベクトルが下向きになってしまった状況。
変わるためには行動だが、まずは感情をコントロールしなければならない。
せめてこの感情のコントロールには努力しようということ。
感情が変われば態度や行動が変わる。
ただ、始めは誰でもよちよち歩きであるように、努力してもなかなか感情はアップしてはいない。
繰り返し、繰り返し、言葉とイメージの暗示法を使おう。
『◯に、俺はなる!』
『◯に俺はなったぞー!やったー!』
それから、行動は生まれる。
そのはずだが、不慣れなことは恒常性維持機能が邪魔をする。
すぐにやめたくなる。
だから、こうしてみよう。
とにかく、5分だけはやってみる。
大きな課題、たくさんの宿題を、細かく分けて、少しずつのピースにしてとにかく5分、あるいは、ピースに分けた幾つかだけでもやるのだと決める。
これはステップインドアテクニック(小さな一歩から入っていく)、ローバーテクニック(低い障害)、象を食べてしまえテクニックとか、人によっては様々に言われるが、とにかく『最低限やれること』だけやると心に決める。
これは本当に役立つ。
とにかく、5分だけ机に座る。
開かなくていいから、毎日教科書を手にして眺める。
目次だけ読む。
1章の見出しだけ読む。
とにかく、できることだけやる。続ける。
そうしていくうちに、案外多くのことができるようになっていく。
感情との闘いは、おそらく一生続く。
徐々に少なくなっていれけれど、自我も恒常性維持機能もあるわけだから、多分、程度の差こそあれ、葛藤は常にある。
でも、葛藤があるからこそ、気づきがあり、成長や発展もある。
そして、今、我々には、感情をコントロールするツールもある。
言葉とイメージによる暗示は本当に役に立つ。
「誰でもできるけれど、ごくわずかの人しか実行していない成功の法則」(ジム・ドノヴァン)でも、「成功の実現」(中村天風)でも書かれていることのキモはこの感情のコントロール。
自分自身(と思われている心、感情)をコントロールする技術。